2015年03月08日

『わが母の記』読書会をしました。

井上靖著『わが母の記』は,作家68歳の時に出版された自伝的小説で、花の下・月の光・雪の面 の三部作で構成されています。
母親「八重」の80歳から亡くなった89歳までについて書かれた本です。
父親の葬儀の時に母の異変に気づき、その後ゆっくりと壊れていく母を家族みんなで支えた物語です。
軍医だった夫は戦後、一切の社会的責任を放棄しただひたすら晴耕雨読の日々を暮らし、母はおそらく地域社会で矢面に立たされたことでしょう。
そんな夫に対する不満は記憶を消していくことで、生き延びる術を身につけたのでしょう。
作者は心のどこかで「自分を捨てた母」と母親を恨み続けていました。
自分自身を息子だと認識できなくなった母親の口から、少年時代に作った詩の内容を口にするのを聞いて、これほどまでに自分のことを想い続けてくれていたのかとようやく実感することができます。

自分自身の未来の姿を想像して、とても身につまされる作品でした。
人間の記憶は徐々に蝕まれていきますが、根底に愛だけは残るのでしょうか。
原田眞人監督の同名の映画は映像が美しく、八重さんを演じた樹木希林さんの演技に感服です。

:読書会では、親を介護しているもの看取ったもの、自身の行く末のことなど自らのことに重ね合ての感想が出ていました。わかりやすい文章で最後まですっと読めたと意見がありました。

次回は三島由紀夫の作品から各自が好きな作品を選んで読んできてください。
4月28日(火)10時15分〜12時
posted by ささやま図書館友の会 at 16:28| Comment(0) | 大人の本を読む会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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